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代表者コラム

危ないリフォーム

中古住宅をリフォームして再活用するというタイトルのTV番組を見ました。

 

放置されている中古住宅を買い取ってリフォームして転売する戦略を取っているとある地方の不動産会社の担当者が、リフォーム工事中の現場で大工にあれこれ指示していましたが、驚いたのは玄関にどんと構える壁がどうにも邪魔なので撤去してくれと。しかしその壁の仕上材を掃いだ所、ここに有る柱は2階が乗っているので外せないとの大工のコメントがありました。

 

ところが次のシーンで驚いたのが、柱を切って二階の柱が乗っている梁の下に新たに梁を加えて補強してこれで安心とのコメント。

 

補強の仕方があまりにもズサンすぎるのと、その柱は通し柱じゃないのかという検討もしたのかどうかはTVでは不明でしたが、私の予想ではひょっとしたら通し柱じゃないのかということ。

 

理由として40年位前の住宅なら、柱の直下率<上下の柱の位置が揃っている確率>を気にして作っているはずもなく、当然2階の柱の直下に1階の柱が無い場合、2階の床梁を大きくして柱を載せることが必要になりますが、通し柱だけは構造的に重要な柱になるので1,2階ともに同じ位置に有るハズ。

 

件の中古住宅にも玄関ホールにドカンとその柱が立っていたということは、通常なら設計段階でそういう位置に柱が来ることは避けるものですが、やむを得ず柱を建てたというその意味からして通し柱の可能性が大きいのではないかと推測しました。

 

そういう見当もされていたのかは分からないままですが、柱を簡単に切り取り梁を補強したから安心というあまりに安易な手法に唖然です。

 

仮にその柱が通し柱では無かったとしても、上の2階の柱が受け持つ荷重と筋交いの向き<その筋交いが圧縮を受け持っているのか引張を受け持っているのかによって、梁のサイズが異なってきます。>を見もしないで105角程度の木材を既存の梁の下に何らの既存梁と一体化の処理もなされないまま取り付けていました。

 

一体化されていないために梁成<梁の高さ寸法>は所詮1本分の強度しか期待できないということ。梁成を合算で期待したいのなら一体化する方法<上下の梁を計算で出された大きさのボルト数本で上下の梁を緊結して固定する方法か、もしくは上下の梁を構造用合板で両面から指定された太さの釘で指定されたピッチで打ち込む方法>で施工しないと全く意味が無いということ。

 

梁を一体化するということはこれほどに手間をかける必要があるということですが、この番組での安直な梁の入れ方に驚きました。

 

その梁は長期に渡って沈み込みが起き、将来的に梁が折れて倒壊する可能性も否定できません。

 

それともう一つ驚いたのは、一体化にもなっていない追加した新設梁をボルトや帯金物等で柱と金物で固定しないで、昔ながらのカスガイという金物で安直に向こう側とこちら側の二箇所に打ち込んだだけ。

 

これは全く地震の影響というものを考慮していないというか、そもそもがこのリフォームは新耐震基準に合わせるということを全く考慮していません。この担当者あるいはこの会社が無知なのでしょう。

 

専門誌の情報には、同じような中古住宅をリフォームして付加価値を高めて転売する専門会社がありましたが、そこの会社は買い取った住宅をスケルトン状態にして耐震基準を満たすために構造計算を行い、確認申請を出して検査済証まで取得していることが紹介されていました。

 

そこまですればいくらもとは中古とは言え、建物として耐震強度は安心でしょう。
転売価格は跳ね上がるとしても、会社としてはそういう所得層をターゲットにしている様子でした。安心=会社としての信頼性を確保することを目的としている様子ですが、昨日の会社は、そういう耐震化を全く考慮せず、転売価格をリーズナブルにすることだけに特化している様子でした。

 

その住宅のお披露目では、たしかに以前のボロ家状態に比べたらきれいな状態で、販売価格も土地付きで1000万を10%程度超えた価格に設定していたためその安さに惹かれて見学者も引きも切らない様子が写っていましたが、上記した方法でリフォームしていたのを見ると、これは危険な要因が隠されている建物になっています。

 

先の構造的に新耐震基準に合わせたリフォームをして転売している販売会社と今回放送された販売会社。その違いはターゲットとしてる購買層に有るのでしょうが、いくら低価格とは言え、欠陥を内包しているような商品を手がけていれば、明日の神戸製鋼、東芝になることは予想できます。

 

ことにシェルターとしての役割を担っている建築にとっての「いい」モノとは、ユーザーの命や財産を守っているという安心な建造物であることが最優先であるはずです。

 

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